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長崎県立盲学校訪問

 平成19年長崎くんちの後日。最後となる奉納場所「諏訪神社」では演技の途中から雨が降り始め、演技の終了とともに本降りとなりました。銀屋町の誰もが慌しく階段を降りて待機場所へと急ぎました。山飾にシートを掛け小道具はトラックに載せ、そして雨宿りの場所を求めて右往左往していた頃... 私達の知らないところで、一つの出会いが生まれていました。

 担ぎ手の一人が階段の下で雨ガッパに身を包んで鯱太鼓に声援を送る子供達に気づきました。嬉しくなった彼は子供達の所に行きました。そこで彼はその子供達が盲学校の生徒さん達だと知るのです。彼は子供達に持っているだけの鯱太鼓の手拭いを渡しました。更に足りない手拭の数を確かめたそうです。一旦子供達の元を離れ、再び戻ってきた彼の手には仲間から集めた手拭がありました。

 『鯱太鼓のおじさん。ありがとう。』 11月に銀屋町に届いた一通の手紙で、そんな素敵な出会いがあったことを私達は知りました。
 その手紙には、子供達には鯱太鼓の響きと共に心に残る思い出とお土産になったこと。帰省した時には家族に話し、貰った手拭は大事な宝物として額に入れて飾っていること。七年後の鯱太鼓を楽しみにしていることなどが綴られていました。



 この手紙に驚き、また感激したのが吉村銀屋町自治会長でした。すぐにこの「おじさん」が誰かみんなに尋ねたのです。本人が名乗り出ることはありませんでしたが、手拭を渡した仲間から彼が誰だか判りました。連絡を取ると子供達が来てくれたこと、一生懸命聞いて応援してくれたことが嬉しくてたまらず、手拭を集めて渡したことを話してくれました。

 また吉村会長は県立盲学校へも連絡を取っていました。手紙のお礼を述べ、先生に子供達の様子を聞きました。子供達が鯱太鼓との思い出を楽しそうに語り、次回(七年後)へ思いを馳せていると聞き、据太鼓の訪問を申し出たのです。

鯱太鼓、長崎県立盲学校へ

 訪問したのは、翌年の1月23日。
 盲学校の生徒さんや職員・保護者の皆さん、更には隣接する鶴南養護学校時津分教室の子供達も来ていて、大勢で迎えて戴きました。  据太鼓の演奏から始まり、担ぎ手の木遣り。子供達への鯱太鼓と傘鉾模型のプレゼント、体験・交流会。
 「もってこーい」にも答えて一生懸命叩きましたが、最後の子供たちのお礼の唄声には敵いませんでした。
 ちょっとしたご縁がきっかけでしたが、ここを訪れて子供達と交流出来たことでメンバーは大きなものを戴きました。
 県立盲学校の皆さん、本当にありがとうございました。これからも、どうぞ宜しくお願い致します。

 学校の皆さんはこの申し出を喜んで戴き、是非にとお願いされたそうです。早速据太鼓の練習日にこの訪問のことが告げられました。太鼓メンバーも全員が賛同したのですが、学校が土日祭日は休みだと判り困ってしまいました。子供達が早く来るのを待ち望んでいるのが判ります。しかし12月中はメンバーの都合がつかないということで翌年まで待ってもらうよう伝えました。

 新年を迎え、メンバーで日程を調整した結果、1月23日訪問が決まりました。吉村会長始め役員、そして担ぎ手からも何人かが参加。以前銀屋町に住んでおられた前野さんも子供達への素敵なプレゼントを持って駆けつけて下さいました。
 一方、盲学校の生徒さんや職員・保護者の皆さん、更には隣接する鶴南養護学校時津分教室の子供達も来ていて、大勢で迎えて戴きました。


 いよいよ始まりです。初めは挨拶と紹介。子供達はやや緊張しているようにも見えました。
 演奏が始まると、じっと耳を傾ける子、音に反応して身を任せる子など様々でした。じっとしていない子も何人かいて先生方は申し訳ないと言ってこられましたが、太鼓の時の子供達は大体そんな反応です。真似して一緒に叩くふりをする子は多いと話すとホッとされたみたいでした。

 実は僕らも必死でした。この子達には音で伝えるしかありません。見た目の派手なパフォーマンスなど何も役にはたたないのです。一打一打心を込めて叩きました。なお木遣りの方は練習不足で迫力に欠けてしまいました。多分子供達には判っただろうなぁ。


 一段落した所で前野さんからのプレゼントが子供達に渡されました。大事にされていた傘鉾と山車の模型です。子供達にそれらがどういうものか実際に触れて確かめて貰おうと持参されたそうです。
 僕らも初めて見たのですが、それは本当に良く出来ていました。しかも渡される時に『壊しても良いから』と仰ったのです。胸がじぃ~んとしました。


 そして体験・交流会です。メンバーは子供達と一緒に太鼓を叩きました。
 中には上手な子もいましたね。さて、子供達は太鼓を叩いてみてどう感じたでしょうか。

 音が喧しい?叩いた跳ね返りが強い?撥が重い(大きい)? 色々とあったと思いますが...



 「もってこ~い」の声にも答え最後の曲が終わりました。
 子供達からお礼の言葉と共に手作りのプレゼントを戴き、そして子供達七人でお礼の歌を一生懸命唄ってくれました。その歌声は体育館に大きく響き、私達の木遣りの声より大きく聞こえるのです。思わず泣きそうになりました。


 ちょっとしたご縁がきっかけでしたが、ここを訪れて子供達と交流出来たことでメンバーは大きなものを戴きました。県立盲学校の皆さん、本当にありがとうございました。これからも、どうぞ宜しくお願い致します。